マサラダ というボカロPがいまして、すばらしい曲をお作りになっています。しかもなんとマサラダ氏は、曲だけでなく自分自身でMVの映像も作っているのです。
私はこの人の曲に対する映像感覚がとても優れていると感じています。(自分の好みかもしれませんが)
ここでいう映像感覚というのはまあ、曲や音に対する嗅覚といいますか、その音を映像化するにあたって気持ちいい表現ができるみたいな、なんかそんなかんじです。
絵のうまさで魅せるMVは数多くありますが、映像のうまさが突出しているMVもなかなかありません。
私は映像制作においては素人ですが、一応映像制作の趣味を10年ほどやってきたこともあり、わりと映像を見る目はあると思っています。
ほんで音楽に関しては普通に好きな程度でめっちゃ素人です。
何を言いたいかというと、その映像の良さについて語りてぇ〜なのでします。
一曲目
ライアーダンサー
マサラダ氏のボカロPとしてのデビュー作。
「嘘」がテーマの素朴で現実的で、でも気の抜けたところもある親しみのあるMV。
モチーフは結構歌詞そのままを描いている印象があります。歌詞も具体的ですしね。そして逆に歌詞のない前奏や間奏では、持ってきてるモチーフのセンスがすごく良い。
例えば、

順に0:23~の「ナイスバディに見せかけて、メロンが入っているだけ。」というモチーフ。素直に音ハメをしていて、わかりやすく嘘であり、バカバカしくもある。明るいMVにして程よい入りじゃないかと思います。

1:23~の間奏では「タバコを吸っていると見せかけて、ココアシガレットだった。」とゆっくりズームアウトすることで気づくようになっています。かっこいいと思わせてじわじわお菓子だと気づかせる、これもわかりやすく嘘でいいですね。

間奏の終わり側、1:34~。音としては先ほどの巨乳メロンと同じ。モチーフは「ムキムキの影だと思ったら、影を利用しているだけ。」というもの。少々入り組んだ嘘ではあるため、この短い時間で伝わるのかは難しいが、良いおもしろさ。

2番とラスサビの間、2:20~のシンセソロが暴れる長めの間奏。なぜかマイケルジャクソンの『Beat It』のダンスをひたすら踊っている。テーマとの関係もわからないし音ハメをしているわけでもない。よくわからない映像にはなっている。
そして、歌詞のある箇所での良いカット。1:47~。
“ 過去が変えられないものならば 良さげなとこだけツギハギで繋げて ”


足跡と歌詞の「過去」を掛けていて、「良さげなとこだけツギハギで繋げて」で足跡の様々な部分を抜き取って、また別の形の足跡として伸びていき、自分の後ろに続く影になる。ここの伸びて横顔になるタイミング取りもうまい。
“ 偏向報道まがいの歩みでも きっとそうやって生きてもいいよ ”

そこから面接という、「偏向報道まがいの歩み」のような嘘まがいのシーンへとシームレスにつながる。このモチーフ選びのセンス。かっこいい。
この記事の本題からはやや逸れるが、歌詞がやっぱりいい。嘘というものでも肯定してくれるのが心地良い。

1番サビ 1:00~ 2番サビ 1:58~
いやあループなんですけどサビのダンスもさすがですね。1番サビでは愉快なダンスを、2番サビではしっかりと音をとったモーションで表現している。

2:09~の音ハメちゃんとハマってていいですね。

2:56~落ちサビのところなんですけど、
いままで背景として使ってきた紫色を陰として扱い。光を差して目を引く表現になっている。

3:30~アウトロ、これはどっかのコメントの受け売りですが、疲れ果ててライアー(liar/嘘つき)からライアー(liar/横たわる人)になるという小ネタがなんともニクい。
映像的には特段目立った表現をしているほどではないが、たしかなテクニックが随所で垣間見えるMVとなっている。
二曲目
ちっちゃな私
一曲目の『ライアーダンサー』の「嘘」というテーマに対して、二曲目の『ちっちゃな私』は「本当」や「現実」に向き合ったテーマが感じ取れる。(という話をどこかで見た気がするが出典がわからない。)
『はじめてのチュウ』や『帰って来たヨッパライ』のような高い声のちっちゃな私がコーラスとして歌い、私という自分とを使い分けた曲となっている。
映像の前にまず、この曲が個人的にとっても好き。あたたかい。
この時期に初めてマサラダ氏を知り、なんかこのひと、MVのクオリティが高い気がするぞ……!?となった。構成もアニメーションもモチーフもどれも良い。

まずイントロ、なんていう楽器というか音かわからないがポップでやさしい音色ではじまる。でもベースはしっかり重く入っている。映像としては けんけんぱ。かわいいしリズムも上手く拾ってる。良。てかちっちゃな私のアニメーションかわい。イントロおわりのオチで私が掘ったであろう落とし穴にちっちゃな私がおちてしまう。
かわいそうだけどかわいらしくいいカットだと思います。

0:17~Aメロ、歩きのリズムがちゃんととれている。コーラスのちっちゃな私が歌うターンで飛び跳ねてでてくるのが良い。歌詞の文字が手書きで人間味を感じていいんだよな。前奏とAメロとでここだけで、どうやら私はちっちゃな私に冷たく接しているように感じる。

0:29~Bメロ、でっかい空の文字がグラグラ揺れて落ちて、落ちて……こない!「コテン!」のカット。コテン!の拍子抜け感とかわいらしさが次の展開に行くのにさっぱりしてすごく良い。このカット、始まりに私の顔がアップで映って、カメラが引いてでかい文字が見えるという流れなのですが、そうすることにより大きさの対比がより強調されて伝わりやすい。巧い。

0:43~サビ、本当に映像でリズムを取るのがうまい。頭が中央に来たときに一瞬沈み込んでリズムとってるのもちゃんと効いている。同じようなアニメーションなのに間がもつのは、そのアニメーションのかわいさ、ていねいな動きの描写、ちゃんとした口パクで見応えがあるから。いろんなところで言及するだろうが、マサラダ氏はちっちゃな私のような小さな生き物を活き活きと愛らしく動かすのが本当にうまい。走るとことか。本人も「小さな生物を動かすのが楽しい」と言及していた。

サビ終わりの歌詞が散らばるやつ、良い。

1:10~Aメロ、「いつまでもついてまわる(回る)」のコーラスで「まわる」がわざわざ漢字になって映像でくるくるっと回る。遊び心があってかわいげがある。

1:23~Bメロ、いままでコーラスをしていたちっちゃな私がメインで歌うパート。ぽてぽて歩いて可愛い。

ここの「飛んでったとおもったら普通に足元にいた」ってアイデア?表現?もいい。なんて名前のリズムかわからないけど、その特徴的な音と共に下がっていくのしっかり拾ってて良い。

1:37~サビ、ここの映像よすぎる。ぴょんぴょん出たりするの丁寧に描かれていて、タイミングやどこから出るかなどのバランスもちょうど良く気持ちがいい。「あーあ(あーあ)」の歌詞の置く位置やサイズも絶妙。このときにゆっくり落ちるのもコントラストが効いて良い。ちゃんと口パクしてるんだよなあ丁寧。

2番Aメロの眠りが妨げられたシーンに戻ってくる。そうしたら元気そうだったちっちゃな私がすみっこで大人しく座っている。私視点でちっちゃな私を見てはじめて不穏に感じるカットとなっている。

1:49~間奏、そうなるやいなや布団を飛び出しピアノを演奏する私。あたたかい。この簡単にノって音符がただ出ているだけで良い、画のバランス感覚。布団から飛び出してピアノをもってくるアニメーションもいいんですよね。

そして、間奏の途中でトイピアノのメロディーが追加されるところで、ちっちゃな私もピアノを持ってきて演奏し始める。音符がちいさいのもかわいい。良い。

2:18~落ちサビ。ああ、私がちっちゃな私に向き合って質問を投げかけて……。

この「そっか」で私が、ふっと笑ったような表情になるのあたたかっ。一方ちっちゃな私は目が潤んでさあ。

ああ、

涙。

泪。涕。
いくらでも泣けてしまう。
私はちっちゃな私を受け入れてさあ、ねえ。
3:18~アウトロ、鼻提灯が出て少しギャグっぽい描写が入る。いままでちっちゃな私のせいで眠れなかった描写があったけど、受け入れて眠れるようになった表現だろう。あたたかく美しい。
そのまま私は奥に引いていって小さくなって風に吹かれていなくなって、最後にちっちゃなタイトルで締めるのも小さくまとめていて味があります。
本当に好きな曲でMVなんです。
三曲目
ウルトラトレーラー
マサラダ氏の3作目。ふざけていても、悲しくても、なにがどうあろうと、突き抜ける、走り抜ける力強さを感じる作品。「全力」を感じる歌詞や映像。
変な画や映像も多くありカオスなMVとなっているが、全てまとめて攫っていく開放感がある。

心電図の音が響き心電図と波形が映る。「ピー」と直線で止まったと思いきや、ベースの音と共に激しく始まっていく。心臓が動きだす生命力をテーマに感じる。このベースの音が鳴る時に一瞬波形が止まるの、ガッと止まって伸びていく勢いがよく伝わり巧い(テクい)。

街の遠くで何かがゆっくりと起き上がる。

デーン!

デーーン!

デーーーン!

デーーーーーーーン!

ターッタタラララ

!?
でっかいテトさんが街を破壊しながら奥から迫ってくる(ちっちゃな私と対比しておっきなお前とも言われているようだ)。勿体ぶったすごくかっこいい引きからの、街をぶっ壊しながら走ってくるテトさんでこのMVは始まった。拍子抜けのバランス感覚がうまいですね。 これは音の話になりますが、ここでサイレンが鳴るのかっこいいですね。

ロゴかっこい。『ウルトラトレーラー』の漢字表記が「超予告編」だとわかりましたね。超(ウルトラ)予告編(トレーラー)と言われてみればそのままですが、イカす。
タイトルのトレーラーとあるようにこのMVはシネスコ(シネマスコープ は、主に映画撮影で用いられていたワイドスクリーン技術の一つ。横縦比2.35:1(12:5)の画面アスペクト比である。)で描かれています。ほら上下に黒い帯があるじゃないですか、これで生まれる比率のことです。

0:41~Aメロ、なんですかこれ。全部壊していった。

カットが切り替わっていく。この鏡とじゃんけんするモチーフ良い。自分もやりたかった。

1:07~Bメロ、さらにどんどんカットが切り替わっていく。切り替えの前に暗転を挟むの、音にも合っていてメリハリが効いてかっこいい。ネタが含まれた絵もあれば純粋にかっこいい構図の絵も混在しており、カオス感がある。

たしかに何仕出かすかわからないな、というカットたち。

1:20~サビ、空に落ちているような(?)開放的な映像。そこまで変わりのある絵面ではないのですが、文字と出し方がかっこいい。

この人々の往来の真ん中で立っているのも、まっすぐに良い構図ですね。この矢継ぎ早の歌詞、「感動も業も熱狂も絶望も希望も」の背景に並べる出し方もかっこいい。

1:46~間奏、ここ!イカしすぎ!音拾うのが気持ち良すぎる。やっぱり1:51の「ドゥrララララ」ってところ(?)グリッサンドっていうんですか?その音を水平移動のスライドで表現するのぴったりですね。そして間奏終わりの2番に繋がる一瞬で何か(おそらく次カットのフランスパン?)が横切るの、何かとか関係なくこれによってテンポが良くなっている。テクい。

1:58~Aメロ……?、フランスパンが迫ってくる(フランスパンはテトの好物。ミクのネギみたいなもの)。最後音がちゃんと籠るのいい。「ここから先の展開は想像できない」とは言っていたもののここまでとは……となるカット。

病室のカット。日も落ちて神妙な感じではあるが、少年の後ろの紙に「何言ってんだ」と書かれていたり、そもそも髪まで包帯いらんやろ、とツッコミどころがちょうどいい。

そんなツッコミどころも隠れたカオスではありつつも、うっすらと影がさしていく。


ほの暗いネガティブチックな場面になります。ここの演出、上手いというかかっこいい。流れるように場面が変わり、カメラを引いて近景の金魚にピントを合わせる。流れを殺さず展開する。これがかっこいい。金魚の柄がテトさんなのもポイントだ。

ここの声の生っぽさ、そして映像ではフレーム多く細かくぬるぬるで気持ち悪さが出て、あっている。

2:44~間奏、ここから展開が加速していく。ここの激しい切り替えもかっこいいんだよな。

!?
フランスパンが仰々しく落ちてきました。細かいことですが、ここ鳥が前を横切ってるの大きさもわかりやすいし、何かが起きている感も出てテクい。

ここ陰から光が差していくの、希望を感じる演出で良い。
バッと立ち上がって、「ダッダッダーン!」の三回の音でパワフルに。背景も元気さがある。

3:06~Bメロ、1番にもあった暗転を含むカット切り替えの多い構成。なんでカオスなのにちゃんとかっこいい絵が多いんだ。歌詞の「そんなんじゃくたばんねぇぞ」の直後に声援というか掛け声が合いの手で入るのですが、そこも力強く拾っている(左画像)。

このボーカルがくる前に手書きのメモの歌詞が一瞬でる演出、かっっこいい〜〜〜。ここからのサビ前はダイナミックな動きも多く勢いが、展開のギアが上がっていくのを感じる。こういうアイデアとかモチーフってどうやって思いつくんだろう。

3:22~サビ、構図に思い切りが良く心地いい。「不幸な思考を奪った!」の後ろの爆発、リズム隊の(ベースなどの)音をちゃんと拾っており良い。
ここの風を受けている映像で勢いのタメが良い。文字の出し方うめ〜。

ここの伸びやかなボーカルと、トンネルを抜けたような映像の開放感がすごい。ここすごい好き。

「最高を奇妙を僥倖を嘲笑を熱情を」の歌詞の出し方、盛り上げ方、本当に見事。

迫力。
「ダッダッダッダッダーッダッダッ」サビのメロディは終わったが、ここからまた一段とギアを上げていく。イントロと同じメロディに歌詞を載せてさらに駆け抜ける。走りのアニメーションが全力でいい。

「”ウルトラトレーラー” さぁ、幕が上がるぜ──。」タイトル回収に、トレーラー(予告編)の名の通りここから幕が上がると。この粋な歌詞に完璧に合ったテンションを高める映像。

「山の向こうに」の走る映像に対して「空の向こうに」のときの方が激しい動きになっていて緩急があり良い。この視線が仰ぐかたちになるのかっこいい。
バッと手を出し、再び手を伸ばす。2回目の手のとき下方向に消えるのが次のカットに繋がる流れになり巧い。

「ダーッダッダラララ」ドリルツインテで転がる本来バカバカしいモチーフなのですが、映像の展開がカッコ良すぎて邪魔にすら思えない。ここ最初、水平面が斜めで入ってくるの勢いがあって巧いんだよな。それとその斜めの後、回転しながら跳ねてるのも動きにリアリティを感じる。

回転の動きからその流れのまま垂直に伸びていく。線や勢い表現のせいで雑に見えてしまうがここの形の取り方本当にうまい。とても素人とは思えない。

ここのズーム、「銃を構えるとき」と「目にズームするところ」が早くなっており、意外と緩急効いてて勢いがダレなくてかっこいい。
「それは夢、希望、理想。 追い求め続ける限り 僕は死なない。」

すごくかっこよく締めたかと思いきや、まだまだ変なカットも入れる。カオスで終わらせてやるぞという気概を感じる。
「それはそれとして 世界は滅ぶ!」

爆発オチなんてサイテー!
ギャグ調で締めやがった。すごい。

このMVを見て、さすがに常人の仕業じゃないなと感じさせられた。想像力そしてそれを映像化する力や技術、それが並外れている。
個人的な話になるが、私は落ち込んだりしていて半年ほど創作活動ができない時期があったが、この曲とMVに出会い火をつけられた。生命力や活動力にあふれたすばらしい作品だ。
とても感謝している。
四曲目
㋰責任集合体
今までのパワフルだったりかわいげがある曲とは違い、色調を絞ったシックな画面や皮肉が効いたテーマのクールな曲と映像になっている。

ゲームウインドウの演出に、語り口調のような歌詞。淡々としている。そして、影が伸びていくように直線が揺れる。この伸びるアニメーションダイナミックで巧い。

月が映り、裏拍のインパクト(っていうんですか?)で「 責任集合体」とタイトルが出る。イケてる。目がランダムに出てくるかと思いきや「ム」の形に並んでいる。この「ム」の形に並んでるなと気づかせるタイミングがちょうどいい。二度目の裏拍のインパクト(っていうんですか?)で星が瞬くのもおしゃれ。

最初に出た三日月のモチーフをそのまま二つ並べると目のようになる。口笛を曲に混ぜるのいいな。

このカット、象徴的でむちゃくちゃかっこいい。回転かかってるのもいい。

サビ前をシンプルで抑えめな映像にしている。

1:00~サビ、この「最悪」の後の「だ」で、一瞬斜めの「?」が入るの勢いが増して良い。そしてそのタイミングで視線が右に向くのですが、それと同時に下の三人(?)が右に少しスライドするのが映像的流れを保っていて、なんともニクい表現だ。

手書きで荒っぽい歌詞。ジャンプのアニメーションうまいな〜特に二回目の小さい生き物の。

サビ後半、ウサギだから耳を見せるだけで頭がたくさんあるのが伝わるんだよな。

やはりふざけパートもある。えへへの子、シルエットなのにちゃんとかわいい。

1:42~間奏、ここからマサラダ氏のセンスが爆発する。矢印が伸びる表現、残像とかうまいな。ギターソロ自体もいいんだよな。

かっこい。なにかとシンボリックな表現が多い。ほらここなんか若干ナチズムを想起させるし。無責任をテーマにしているからこそ責めることのできる表現だろう。

ハエ叩きとカーソルを(多分)モチーフにしたアイデアかっこいい。旭日旗っぽいような中指を立てた画。映るのが一瞬とはいえセンシティブだと捉えられかねない表現もガンガン取り入れてくる。

ここの矢印一瞬止まるの勢いが印象的ですごくかっこいい。鍵穴の奥に無数の目が見えるカット、ゆっくりズームしているのも流れを殺さずちょうどいい。

訴えのような演説のような「知らない」という主張の歌詞に映像。調声うまいな。

2:13~Cメロ(?)、一旦勢いが落ち着く。影で見えなかったが、耳が見えて(おそらく)月が見えてくる調整がうまい。

2:29~サビ、いままで右か左かしか向いていなかった目は山なりに、三角形の口は逆三角形になり笑顔になる。「最悪」だった歌詞は「最高」になった。

笑顔が縦横無尽に跳ねる。こういうちょっとしたアニメーションがちゃんとうまいんだよな。「ぶっ壊して叫べ」の爆発したような力強さ良い。

今度は笑顔が縦に跳ねる。歌詞の「跋扈跋扈」の発音も跳ねているようでぴったりだ。この直後の顔が渦を巻き斜めの直線になる表現ハイセンス。

曲の話ですが「愚行奇行で結構 勝手に生きたれ!」って歌詞すごくかっこよくないですか?ここがすきです。今気づいたけど韻も踏んでるし。あとここの後ろで流れてる金属製のゴミが散らかるようなジャンクっぽい音(?)すごくすき。

また地球を壊してる……。氏にとって無茶苦茶するということの象徴は地球の破壊なのだろうか。拳を突き上げるのも印象的でいいですね。

ヂリヂリしたようなレトロな映像表現でイカしてる。一瞬「む」が中央に来るのもなんだかアナログを感じる。動き的勢いが落ち着くのもいい。

回転が速度を増し最後の盛り上がりへ。このMVを通して黒とベージュ以外の色が使われているのはここの虹色のエフェクトのみだ。それによってより一層インパクトのある印象の展開に。

この象徴的で迫力ある画を最後にぶつけてくる。すばらしい。おそらくモチーフは「旭日旗」(ここではいままで出ていた三日月と重ねている)と「傘連判状」(責任者を悟られない記述方)だろう。ハイセンスと言わずしてどう表せようか。むちゃくちゃかっこいい。

ここまでテーマで散らかして暴れておいて、最後は知らぬ存ぜぬで落ち着いた映像で締める。流石でお見事といった感じだ。
四曲目ということだが、曲も映像でも作風の幅を見せつけられた。
全ての曲にちゃんとハマっている。マサラダ氏の今後の動向が楽しみだ。
